2006年11月30日木曜日

プログラマの生態と働き方について

僕は熱中すると時間の感覚が無くなるタイプで、夜中から昼前までの異常な熱中をを同居人に怖がられたことが何度かある。この習性は僕に限ったことでは無いと思うのだけれど、どうだろう。

そんな習性を持つプログラマに対して、IT系の企業が提示している作業リズムは、企業によって全く異なるそうだ。

(1)プログラマの生態に任せる派
プログラマが乗ってきたら、そのまま、とことん作業させておく。
当然、生活リズムは人間のそれとはかなり離れたものになる。

(2)普通の人間の生活リズムを取り戻させる派
たとえプログラマがノリノリであろうとも、定時になったら、無理矢理帰らせる。
朝起きて夜寝るという、基本的な人間の生活リズムが保たれる。

僕はというと、とことん作業が続けられる(1)のやり方を好んでいたのだが、最近実は、健康が気になってたまらない。だから、最近は、(2)の人間的な作業スタイルが理想だ。
誰か、僕に人間的なリズムを取り戻させてほしい。

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寄るな危険

追伸(12/20):プログラマが「乗ってきた」ときの状態を、ゾーン状態というらしい。先日初めて聞いたのだが、IT業界では、使い古された用語 のよう だ。Microsoftなどがプログラマの部屋を個室にしていることもゾーン状態と関係があるとされる。やっかいなことに、ゾーン状態になるための方法論 は確立されておらず、人によってまちまちのようだ。その日に気分のよってはゾーン状態になれないこともある。WikiPediaや2chをだらだらと見て いると、ゾーン状態になれるという人もいるが。。。

2006年11月26日日曜日

私の情報整理術:創造につながる情報整理

「情報処理」の2006年1月号に掲載した記事の元原稿です。

ご意見をいただければ幸いです。


私の情報整理術:創造につながる情報整理



若輩者の私がこの連載の一回分を執筆する機会をいただいたのは,おそらく,メモソフトの「紙copi」(以下,「紙」と略す)を公開していたからだ ろう.「紙」とはWindows用のフリーソフトで,名前の通り紙のような使い勝手を目指したソフトである.今回は,整理術を紹介せよとのことなので,私 自身がこの「紙」をどのように使っているか紹介しよう.「紙」の設計思想についても述べてみたい.メモツールを活用するときの参考にしていただければ幸い である.


思考を妨げないツール



メモツール「紙」の最大の特徴は,明示的に保存操作を行わなくても,内容が更新されるたびにハードディスクに自動的に保存する機能を持っている点にある. 現在普及している一般のソフトウェアだと,編集中のデータはメモリ上に展開され,「保存」というコマンドを選択するまでハードディスクに保存されない.ま た,保存するフォルダを選ばなければならない.途中でPCがクラッシュしてしまったら,データは戻ってこないのだ.これではおちおち文章も書けない.この 事故を防ぐために,文書の作成を開始したらすぐにどこかに保存し,その後は保存コマンドのショートカットキーを頻繁に押している方も多いのではあるまい か.しかし,この作業は非生産的だ.「紙」では保存場所は書く前に「箱」を選ぶだけで選択でき,内容は自動保存されるので,終了時に「保存しますか」とい うメッセージに答えるという煩わしい思いをしなくてすむ.
このシステムを使うと,すぐにメモを書き始めることができるだけでなく,すぐに終われる.すぐに終われるから,書き始めるときも気負いしない.本来の紙の使い勝手に近く,慣れてしまうと従来のシステムには戻りがたい.



文章を書くためのデザイン


私の場合,新たに文章を書きはじめる作業は,人から書けと言われても直ちに始められるものではなく,それなりの準備と心構えがいる.つまり,「文章を書く モード」に心のスイッチを切り替えないと取りかかれないのだ.ということは,その感情を受け入れるツールも,それなりのデザインが要求される.邪念を払 い,文章を書くことに一心不乱に集中できるようなデザインが求められていると思うのである.集中のために必要なデザインとはなにか? それは,異空間の演 出とシンプルなデザインだと思う.図1の「紙」の画面を見ていただくと分かるが,左に「箱」と呼ばれる文章を束ねて整理する入れ物があり,中央に編集画面 がある.紙面では分からないが編集画面は独特の色合いをしている.またツールボタンの類はほとんどない.賛否両論あるものの,私は「紙」を立ち上げるたび に,このデザインを見て他のソフトウェアとは違う雰囲気を感じ,「さあメモを書くぞ」という気持ちになる.いかがだろうか?


情報整理術5
図1 メモソフト「紙 copi」



発散と収束をバランスよく


思考の発散というのは,関連する物事を連鎖的に思い浮かべ,与えられた思考の枠にとらわれず新しいアイデアを想起していく作業のことである.思考の収束と いうのはその逆で,与えられた材料を整理し,一つのアイデアへとまとめていく作業のことである.人には発散思考の人と収束思考の人がいるように,思考には 発散と収束の両方の側面があると思う.メモを活用するには,発散と収束の性質を知り,今どちらを行っているのか意識しながら取り組むと効果的だと思われる.
発散と収束のための方法論は数多くあるが,それらをコンピュータのソフトウェアとして実装したものでは,まだこれといった成果をあげているものはないよう だ.その理由は定かではないが,思考やメモの取り方に一定のルールを設けるアプローチは,現実世界においても制約が多くなりがちで,それをコンピュータ上 で実装するとますます制約が多くなり,使いづらいものになるからだと推測される.以下に,いくつかの例をあげる.


*FreeMind
FreeMindはMindMapを扱うためのフリーソフトだ.最近流行のMindMapは,発散のためのツールだろう.一つの根から派生する関連情報を次々と枝葉に書き込むことができる.しかし,収束には向いていないと私は考えている.

*KamiWiki
KamiWikiでは,管理しているページのタイトルが他のページの文中に出てきた場合,自動的にタイトルにリンクを張る機能を持っている.自分のメモ同士が自動的に関連づけられ,ユーザーの発散思考を支援する(図2).

情報整理術4
図2 KamiWiki


発散と収束の両方ができるツールが望ましいが,現状ではそういったツールは見かけられない.「紙」は,Webブラウザから見ているページをローカル に取り込む機能をもっている.取り込んだページと自分のメモを同じインタフェースで扱えるので,それらを元に一つの文章に収束することがスムーズにできる ようになっている.しかし,まだ収束のための積極的な支援ができるまでには至っておらず,さらなる工夫が必要だと感じている.



「紙」で論文を書いてみよう


私事になるが,先日WISS 2005という学会があり,そこで「縁人」というシステムについて発表をした.このような場に論文を投稿したのは私にとって初めてのことである.この論文 を書くにあたって私が実際に「紙」をどのように活用したかを紹介して,このコラムをしめくくりたい.なお,「紙」はフリーソフトとして公開しているので, ダウンロードして使っていただけると幸いである.
図3では,Webから論文に関連する資料をドラッグ&ドロップで「縁人」という箱に保存している.図4の左では,書きためたプログラムの仕様のメモなどが 同じ「縁人」という箱の中に保存されている.右には,プログラムの開発時のメモを開いている.論文には採用しなかったものの,残しておきたいメモなども同 じ箱の中の別の紙に書き留めている.これらのファイルもすぐに参照できる.図5は,論文の本文を書いているところである.マーカ機能を利用し,強調すべき 箇所に色を塗ることができる.また,「しおり」を作ることで,画面の自由な位置に該当ファイルへのショートカットのボタンを配置できる.論文の本文と関連 資料に関するしおりをならべて表示し,これらをクリックすることで本文と関連資料を行ったり来たりしながら,本文を肉付けしていく.
論文の執筆は,頻繁に自分のメモや他の文献を参照しながら,本文をまとめていく作業の連続である.今回の論文は,自動保存機能や,Webの取り込み機能, しおり機能を駆使してなんとか完成させることができた.しかし,それでも不便だと感じたことがある.それは,関連する文書間のリンク関係が簡単に指定でき ない点である.文書間のリンクについては,前述したKamiWikiが優れている.KamiWiki的な機能を「紙」につけると,もっと便利になるのでは ないか.今後とも改良の道を模索していきたい.

情報整理術2
図3 Webからの取り込み

jyouhou2.png
図4 関連資料と箱の一覧

情報整理術1
図5 本文と関連資料のしおり

参考URL
紙 copi
http://rakusai.org/

FreeMind
http://freemind.sourceforge.net/wiki/

KamiWiki
http://rakusai.org/kamiwiki/

縁人
http://www.enzin.net/

2006年11月22日水曜日

エクスプレス予約で「方向」を間違える

京都と神奈川の往復が多いので、JR東海の「エクスプレス予約」というサービスを利用している。ネット上から、指定席の切符を割と安く予約できるので気に入っている。

しかし、今朝京都から新横浜に帰るときに、間違えて新横浜→京都のチケットをエクスプレス予約してしまい、京都駅の改札を通るまで気がつかず、焦った。

改札でエラーが出ているのに最初は気がつかず、切符の額面を見てはじめて、「方向」が違っているのに気がついたのだ。

新幹線の発車前だったので、窓口に行ったら全額返金してもらえたのは不幸中の幸いだったのだが、なぜこんなことが起きたのだろう?

もし、窓口で買っていたなら、こんなミスはありえない。京都で、数分後に新横浜を出発する切符を買う人なんていない。

エクスプレス予約のサイトは、利用区間の保存の機能がついていて、これが僕の場合は、常に新横浜→京都に固定されているのが問題のようだ。
デフォルトの表示が、前回予約した切符と出発・到着駅が逆になるようにプログラムされていればよいのに、と思った。

2006年11月18日土曜日

『今、熱い企業はインタフェースに注目している@パネルディスカッション』11月23日(木)

こんにちは、洛西です。

イベントのお知らせです。
11月23日に、東京丸の内 丸ビル 8階 Room 4で、「誰のためのデザイン」の翻訳者でもある野島久雄先生、グーグルエンジニアの小松弘幸氏をゲストにヒューマンインタフェースに関するパネルディスカッションを行います。

ヒューマンインタフェースは、人とコンピュータの接点を探り、あたらしい関係を模索する学問です。つまり、人間や社会の立場からコンピュータを眺めて、コンピュータをデザインし、命を吹き込んでいきます。

あなたの会社は、サービスや製品を設計するときに、どれくらいインタフェースに気を配っていますか。今回のパネルでは、研究室のメンバーが、最新の インタフェースの考え方を紹介します。また、今、注目されている企業が、どのようにそれらを取り入れているのか、考えてみたいと思います。

個人的には、 グーグルの小松さんの話が楽しみです。
また、私は、NOTAネットワークで実践しているコミュニティベースのインタフェースの設計手法などを紹介できればと考えています(なお、本名で出ています)。

idp_orf_logo.gif

↑詳細は、このバナーをクリック!

SFCのOpen Research Forumの一環ですので、他にも
様々な研究の展示などを見ることができます。
http://orf.sfc.keio.ac.jp/

2006年11月4日土曜日

シリコンバレーへ合宿および見学にいきました(10/29 - 11/4)

シ リコンバレーに行ってきました。今回は、山田進太郎さん、鈴木健さん、江島健太郎さん、はてなのみなさん、渡辺千賀さん、Appleの増井さんらに案内し てもらったこともあり、現地の生活や仕事事情を生で見ることができ、今までにないほど、リアルなシリコンバレーを体験できた。案外、肌にあっているかも。


スタンフォード大学のキャンパス


アップル本社

CNET Japan Blog
http://blog.japan.cnet.com/kenn/archives/003316.html
http://blog.japan.cnet.com/geetstate/a/2006/11/2045_2.html

おまけ:

法案毎に、支持、不支持を投票できる選挙が実施されている。
写真は、各家庭に配布される法案の資料。とても分厚いが、市民はいつ読むのだろう?
各法案には番号が振られており、写真のページは87番の法案である。
(火力、原子力などに変わる新しいエネルギー産業の推進の是非について。いまシリコンバレーでホットなトピックの一つらしい。)
街中では、各法案の支持をうったえるために「Say Yes!! 87!!」などと書かれた看板をときどき見かける。門外漢にはまったく意味がわからないなあ。

クレジットカードが一体になった、健康保険証。
使わなければ、その分、将来にチャージ可能である。どれだけ健康にお金を使ったか、全部保存される。
発想が、恐ろしく合理的で恐い。その名も「Health Saving Account」。
(上下共に、渡辺千賀さん提供)

2006年11月1日水曜日

Lessig LetterでNOTAおよびC-Shirtsが紹介されました。

Lessig LetterでNOTAおよびC-Shirtsが紹介されました。翻訳文はこちら