2009年8月16日日曜日

カオスを指向するウェブ、コスモスを指向するウェブ

ウェブのサービスはカオス(混沌)とコスモス(秩序)が交互に登場するのではないか?
開発者の中で両方を指向する人は少なく、どちらかに好みが寄っている人が多いように感じている。

最初のカオス派


まず最初に登場するカオスがHTMLである。HTMLは柔軟な記法を持ち、ちょっとくらい文法エラーがあっても大丈夫。すきなフォント、色、画像、言語を表示できる。統一された書き方やフォーマットはない。「リンク機能」が特徴で、自分のページへも、他サーバーのページへもリンクをはっていくことができる。
何を発信しても許される自由の空間、パラダイス! HTML(ウェブサイト)を作るのは、楽しいからだ。自分のコンテンツを発信できる。自分だけのメディアがもてる。
それだけで満足だったし、画期的なことだった。HTMLは、世の中に間違いなくカオスをもたらした。

コスモス派


しかし、そうなると情報がばらばらであることに満足できない人が現れる。地球上のHTMLは各サーバーに分散し、全体はどうなっているかを把握する方法はない。そもそもページが永続する保証もないし、リンク切れになるとページの関連性は失われる。Yahooは、Web上にあったHTMLを手動で順番にカテゴリ分けするサイトをつくった。来る日も来る日もリンクというぐちゃぐちゃな糸をたどって有用なサイトを見つけては情報を分類していった。

そしてまた、カオス派


カオスを生み出すのが好きな人たちはHTMLでは満足できなかった。発信したいことはもっと山のようにあるのに、いちいちHTMLを作成してサーバーにアップロードするのは手間である。そこで、「ブログ」が生まれた。これは便利だった。HTMLの知識がなくても、ウェブのテキストフォームにテキストを打ち込むだけで自動でウェブサイトを作ってくれる。手軽になったので、ますます多くの人が高い頻度で情報を公開するようになった。

こまったコスモス派


ブログの登場でYahooは途方にくれた。これほどまで多くのページが氾濫するとは想像していなかった。もはやディレクトリ分類は機能しなくなった。そこで、みんなにとって有用なページの分類するのではなく、自分が必要な特定のキーワードに対して有効なページを探し出す技術を開発した。そこで抜きんでたのでがGoogleである。Googleの会社のミッションは「世の中のすべての情報を整理(オーガナイズ)すること」である。つまり、Googleの創業者は、世界の情報はコスモスでなければならないという、強烈な信念をもっていると思われる。
また「ソーシャルブックマーク」もコスモス派の成果の賜だ。ソーシャルブックマークによって混沌としたブログは、だいぶ整理されることになった。

最近のカオス派とコスモス派の攻防


Googleによってウェブの情報はすべて整理しきれたように見えた。しかし、カオス派もめげない。
最近のカオス派のめだった動きは、Twitterと動画だ。Twitterは、つぶやきをどんどん投稿していき、友達がそれをほぼリアルタイムで見る。@マークをつけて返信できるが、スレッドがないため、会話はどんどんと予想できない方向に派生していく。
GoogleはまだTwitterを「オーガナイズ」しきれていない。まずTwitterは時間が大事であるが、Googleの検索結果は、かならず遅れる。次に、一つのつぶやきは一つのURLを持つが、Twitterのつぶやきを一つだけ見ても意味のないことが多い。前後の文脈が整理しきれていない。
動画もまだまだである。いまは「タグ」を検索するようになっているが、動画の中身は検索できていない。タグがついていない動画のほうが多いだろう。またリアルタイムの動画配信になるとまさにカオスである。有益なリアルタイム配信はどこにあるのか? 探すことは容易ではない。

まとめ


カオス派とコスモス派は上にあげたように大きな波として交互に来る場合もあるし、小さな波はもっといたるところで起こっている。どちらかが起きるとどちらかがカウンターパートとして登場するのは歴史の必然であるようだ。
両者は補完関係にあるが、一つ言えることは、カオス系サービスは、生み出した混沌を整理するサービスがなくても、単体で支持されなければ大きな波にはなれない。

カオス派、コスモス派と呼んできたが、カオス派=創造派、コスモス派=整理派と呼んでも問題ないだろう。
あなかはどちらを指向するだろうか?

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