2007年3月26日月曜日

引っ越し準備 - 横浜のスラムと高齢化

4月から横浜市の関内の近くに引っ越すことになった。

関内と言えば、横浜の伝統的な建物や中華街が有名なところだ。
中華街もマンションから徒歩圏内なので、毎日食べ歩けるかと思うとのどがなる。

週末に、借りる予定の家の周辺を1時間ほどかけて歩いてきた。
事前に、周辺に大きなドヤ街があると聞いていたので、中華街を回って中華料理を楽しんだあとで足を運んでみたのだが、ちょっとした衝撃を受けた。

写真を撮るのも阻まれる雰囲気。道ばたに座りこんで将棋に興じる老人。特になにか目的もない様子で道をとぼとぼと歩く人々。どっちに向かうのかはっ きりしないかのようなとろとろとした動きの車。とっさに身の危険を案じた。しかし、次の瞬間に気がついたのは、町全体を覆う無気力間。ここ(寿町)はいわ ゆるスラム街なのだが、若者の姿はなく、「老人スラム街」というべき雰囲気で、喧騒で危険な空気はない。僕もジーパンに油よごれのついたジャンパーという 格好なので服装は町に溶け込んでいる(?)のだが、若者がしゃきしゃきと歩いているというだけで周囲との違和感を感じる。

「ドヤ」というのは、「やど」をひっくり返した言葉で、日雇労働者が滞在するための簡易宿泊施設のことだ。この地域は100軒以上宿泊施設が存在する日本三大ドヤ街の一つらしい。しかし、バブル以後は活気が失われ、現在は住人の老齢化も進んでいるそうだ[1]。

顔を上げると、開発地区のみなとみらいの高層ビル群が見える。高級住宅街の山手の山の緑も高架を挟んで目と鼻の先にある。このギャップには驚いた。台湾に自転車旅行をしたときに、台北で似たような地区の安宿に泊まったことを思い出した。しかし、それが日本にあるとは。

スラムが都市に隣接しているという状態は一般的なものだとしても、「若者がいないスラム街」という事態には驚かざるを得ない。「高齢化は、田舎ではなく、都市部においてもっとも進展する」という調査報告を ちょうど先日聞いたのだが、まさにその現場を見た気がした。スラムが都市において貧困層が過密的に集合した地域だとすると、老人スラムは、その老人版とい うことになるだろう。若者なら、町から飛び出し、あるいは他者を呼び寄せることもできるだろうが、老人の場合は、そのような流動性は期待できない。

このような問題をなんとかしたいと思いつつ、気分のやり場がないので、家に帰ってU2を聴く。

僕のつくるソフトは、そのとき周りにいる人や環境に大きく影響をうけている(例えば、家族と一緒に暮らしているときは、父でも使えるソフト、京都の 町屋にいるときは、みんなで管理できる共有ウェブなど)。新旧貧富美醜が交錯する街、横浜でなにがつくれるか? これから考えていきたい。

ちなみに新しい部屋は、最近事務所を改築して住居にしたところで、外からみるとビジネスビルのように見える。実際、半住居、半仕事用途で使おうと思っている。

[1]WikiPedia - 寿町 (横浜市)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BF%E7%94%BA_(%E6%A8%AA%E6%B5%9C%E5%B8%82)
WikiPedia - スラム
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%A0

寿町の写真
http://www2.tba.t-com.ne.jp/oldyokohama/kotobuki.htm

YOKOHAMA HOSTEL VILLAGE
http://yokohama.hostelvillage.com/ja/kotobuki/

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